バトン
今回はワタクシが繋いだお話
一つのブレスレットの軌跡でございます
アジアンショップ
天然石の沼に片足が沈んだころでしょうか
当時のワタクシはせっせと
とあるショップさんに通っておりました
そのショップさんはアジアン系のセレクトショップで
雑貨にお洋服にアクセサリーと
品揃えが豊富でございまして
その中に天然石たちも並べられておりました
ファッションの指向的にも
オリエンタルにはまっていた頃でもあり
当時のワタクシにとって
好きなものが一堂に会する場所だったわけです
どれだけ通っていたかというと
私が来店すると必ずと言っていいほど
ショーケースのカギをしっかりと準備して
『今日も中のモノ見ます?』
と声をかけられるほど
そんな感じ
常連さんってやつですね、はい
このショップさんでは
天然石をいくつも購入していました
ブレスレットだけでなく
クラスターといわれる原石を初めて購入した場所でもあります
シルバームーンストーン
前述のショップさんで
ワタクシはシルバームーンストーンのブレスレットを買い求めました
ムーンストーンといえば白っぽいカラーが多いなか
初めて目にしたグレーにも見える色味が珍しく
カッコいい!となったわけです
ところがしばらくすると
なんとなく違和感が
(・・・これって本当にワタクシが着けるものなのか?)
なんとも妙な感覚になり
購入したものの
身に着ける機会は減っていきました
そんな折
母方の祖父母が遊びに来ることに
この時祖母は
病がみつかり手術をひかえる身でした
祖父も心配している様子で
和やかな会話に時折影がさします
ワタクシはその日
あのシルバームーンストーンのブレスレットを着けていました
ワタクシはそのブレスレットを外し
祖母の左手に着けてみました
なんともしっくりくる
(コレはやっぱりワタクシのじゃなかった!)
そのまま祖母へプレゼント
手術の成功と病気平癒を願って
祖母は嬉しそうにずっとブレスレットを触っていました
一つが三つへ
手術は無事に成功したものの
病によって削られてしまった祖母の体力は
徐々に低下していきました
そしてそっと
旅立ってしまいました
葬儀の準備がひと段落した折
祖父が小さなバックをもってきます
祖母が病院に持っていっていたバックだというのです
そして
『これ、どうしたらいいだろう?』
バックから取り出されたのは
シルバームーンストーンのブレスレット
入院中は身に着けることができないけれど
バックに入れて病室に持ち込んでいたのだと言います
母がワタクシに振り返り
『どうする?』
その時ワタクシには一つの考えが浮かびました
ワタクシの手のひらに
シルバームーンストーンのブレスレットが戻ってきたのです
時は流れ
祖母の四十九日法要の日
ワタクシは
母、母の妹、母の弟
それぞれにブレスレットを手渡しました
祖母が最期まで持っていてくれていた
シルバームーンストーン
そのブレスレットをばらし
新たに三本のブレスレットへとリメイクしたのです
祖母から我が子たちへ
命のバトンと同じようにつながりました
形が変わっても
その後
祖母の法要などの折には
母たちはワタクシがリメイクしたブレスレットを
身に着けてくれています
形見分けというと堅苦しいですが
こんな思い出の引き継ぎ方もいいのではないでしょうか
こんな風に形にできたこと
天然石に沼ってみるのも
いいもんです
それではまた次回
お逢いできますことを願って